(主要人物:葉佩 皆守 ジャンル:ギャグ キーワード: - 作品No.29)
最終更新:2005/06/05(Sun) 23:35
寄稿者:西屋
俺、葉佩九龍がこの私立天香学園高等学校に転校してきて二ヶ月と少し。
遺跡には何度も行ったし、執行部や生徒会のやつらとも戦った。
もちろん遺跡の謎もたくさん解いた。
そんな経験豊富な俺でも解けない謎が、この私立天香学園高等学校にはある。
その謎とはズバリ――誰もが気になる、阿門の髪型だ!
「九ちゃん、今日も遺跡に行くのか?」
そう声を掛けてくるのは皆守甲太郎。ミナカミだ、ミナカミ。
最初にミナモリって呼んだのは言うまでもないだろう。
協会に周辺人物の報告書とか送ろうとした時、H.A.N.Tで漢字変換できなかったし。
「行きたい。けど、その前に解きたい謎がこの学園にはある!」
「……」
「あ、今またくだらない事をって思っただろ」
そんな奴だ、甲ちゃんは。
いいさ、いいさ。
「そんな奴には謎が解けても教えてやんないからなっ」
「……で、解きたい謎ってのは?」
流された……。
そんな奴だよ、甲ちゃんは。
「……阿門の髪型が団子の理由。どうせ甲ちゃんは興味ないだろうけど」
「阿門の髪型か……確かに気になるな」
ほらやっぱり、甲ちゃんは興味ない……ってアレ?
興味持ってくれてる?
あぁ、カミサマ、明日は雨が降るんですね……。
雨が降ったら甲ちゃんと相合傘とか?
うわっ、照れる!恥ずかしいっ!
最近甲ちゃんの台詞だけでも恥ずかしいのに、そんな大胆な――。
「おい、九ちゃんっ」
「えっ?あぁ、阿門の髪だっけ。アレはねぇ、きっと……」
「何だ九ちゃん、知ってるのか?」
知らないけど、多分あれは――
「あの団子の部分に非常食が隠してあるんだ」
「……」
え、そんな理由じゃ嫌?
それなら――
「趣味だ!……うわぁ、どんな趣味なんだろう」
「……」
え、それも駄目?
文句が多いな、甲ちゃんは。いや、何も言ってないけど。
それなら……これでどうだっ!
「謎を持ってる男の方がカッコイイと思って、自ら謎を作り出した結果だっ!」
どうだっ!これはもう頷くしかないだろうっ!
参ったか、さあ参ったと言うんだ甲ちゃん!
「……もう終わっちまったのか?全部ハズレだ九ちゃん」
「全部ハズレって、甲ちゃんは謎を解けたのか?」
「あぁ、あの髪型を阿門家の執事が気にいってるからだ」
「執事って千貫さん?マジで?」
「冗談に決まってるだろ」
……あ、そんなことする?って、甲ちゃんならするか。実際されたし、今。
なんだ、冗談か。マジで信じそうだったのに。
ちぇ~、なんだよ、ちょっと阿門と友達っぽいからってさー。
いいさ、仕返しとしてマミーズのカレー、品切れにしてやるもんね。
覚えてろよっ、甲ちゃん!
「なぁ九ちゃん、腹減ったし、マミーズにカレーでも食いに行こうぜ」
「いいね、いいね」
ってダメダメじゃん、俺ッ!
結局謎も解けないままだし。
こうなったら、どうせ遺跡で阿門と戦うことになるんだろうし、その時にでも訊いてみよっと。
謎が解けても甲ちゃんには教えてやんないもんね。
その時になって後悔しても遅いんだからな!
覚えてろよ、皆守甲太郎ッ!
(勝者:皆守甲太郎)