(主要人物:葉佩 皆守 ジャンル:ギャグ キーワード: - 作品No.36)
最終更新:2006/06/28(Wed) 17:28
寄稿者:江保場狂壱
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九龍3分クッキング
男子寮。葉佩九龍の部屋には数人の男子が集まっていた。今日は九龍の料理を披露する日なのだ。ただし女子は入れないので、八千穂は悔しそうだった。
「はい、甲太郎。カレーライス」
「・・・」
「どうしたの?」
皆守甲太郎は顔をしかめていた。
「・・・これ、単に白米にレトルトカレーかけただけの代物だろ?料理じゃないだろう?」
「何?もっといろんなカレーが食べたいの?じゃあ、警備員室で見つけたカップ麺でカレーラーメンも作ろうか?それとカレーライス合わせれば、カレー定食になるよ。カツレツがあるからカツカレーも作れるけど、甲太郎はカツカレー嫌いだっけ」
「そうじゃねぇだろうが!!どれもこれもレトルトカレーで作ったものだろうが!!しかもカツレツの肉はカミムスビを倒して手に入れた霜降り肉だろうが!!」
ちなみにカミムスビとは化人という化物のことだ。
「甲太郎がそんな神経質とは知らなかったな」
横で夕薙大和がビフテキを食べていた。
「夕薙!お前の食ってるビフテキも今言ってた化人の肉なんだぞ!!」
「そうか?結構うまいぞ?」
この男、霊と怪奇現象は信じないくせに、化人の肉を喰わされても文句言わないのかよ。しかも病弱のくせに脂っこいもの食いやがって。皆守は心の中で突っ込んだ。
「この間八千穂さんにハンバーガーあげたけど、とっても喜んでいたよ。あれもカミムスビの霜降り肉とウネメの桜肉を調合して作った特性ハンバーグを使ってるからね」
八千穂の奴、よく文句を言わないな。いや、言うはずないな。あいつにとってうまけりゃなんだっていいに決まってる。皆守はあえてつっこまなかった。
「葉佩くんは料理がうまいよねぇ。もぐもぐ」
黒塚至人はいくら丼を食べていた。
「うぉぉい!そのいくらは化人の卵のうで作られたものだろうが!いくらじゃないだろう!?」
「うふふ、皆守くん知らないのかい?いくらはロシア語で卵のうというんだ。かずのこもたらこもいくらと呼ぶのさ。だから卵のうで作られた、これはいくら丼でいいんだよ」
「違うだろ!?普通いくらといったら鮭の卵だろ!?つーか、ロシア語だから、なんだっていうんだ!!」
「今日の甲太郎なんか変だよ。どうしたの?」
九龍は心配そうにたずねる。皆守ははぁはぁと肩で息をしていた。
「ソウデスネ。ミナカミサン、ドウシタノデスカ?」
そういってトトは寿司を食べていた。もちろん、九龍が作ったものである。
「それも化人の肉で作ったものだろう・・・?」
もうつっこむ気力が失せたのか、皆守はぐったりしていた。
「イイエ。州羽海礼拝堂ノ宝箱デ見ツケタ魚肉デ作ッタソウデスヨ」
「宝箱に入ったものならいいのかよ!!」
ぐらり。
皆守は貧血を起こしかけた。
「寿司を作るのは苦労したよ。百科事典を装備して、舞草さんと肥後くんに協力してもらったんだ」
「ウェイトレスと肥後が協力したのはわかるが、百科事典てのはなんだ?」
「これが八千穂さんと劉先生だったら、ただのレトルトカレーが殺人兵器になっちゃうからね」
皆守は考えてみた。確かに予想できる。食べた途端、カレー爆弾と同じ効果を生むかもしれない。これだけは九龍の功績だと思った。
「つうか、化人の肉を料理に出すとは、いい根性してるよ・・・」
「何を言ってるの甲太郎。僕が食べられないものを出すはずがないよ。みんなに出す前に、僕が味見して確かめたんだから、大丈夫だよ。たぶん」
「チョットマテ!!今小さくたぶんて言ったろう!!」
「大丈夫だよ。僕はまだ死んでないんだし、平気だよ。きっと」
「ナニソレ、きっとぉぉぉ!!」
「甲太郎。そんなに叫ぶと体に悪いぞ。今日はどうしたんだ?」
夕薙が心配そうに気遣ったが、皆守の耳に届いてなかった。
終わり