2009年6月アーカイブ

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 うららかさが、瞼に不必要な重力を与える。食事時でなかったら眠っていたことだろう。 五月、良く晴れた日の昼休み───。 屋上に吹く穏やかな風が、少し汗ばむほどの暖かい日差しを和らげる。 「いー天気だなァ。んあーッ。午後中ずーっとのんびり昼寝してェー。」  金網に頭を凭れさせ、上空を見上げて悪友は続け... 続き→

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 京一はその時、ひどく不機嫌だった。 今し方の生物の授業で、犬神に四回も指されたのだ。 (アイツのああいう陰湿なイジメが嫌いなんだっての。何かってーと目の敵みたいに突っ掛かってきやがって…) 小蒔が不気味そうに語る夢の話も、京一にとってはどうでも良かった。 まさか、その「夢」がこれから起きる事件と関... 続き→

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 ~前回のあらすじ~ 新宿にある真神学園高校に来た転校生、緋勇龍麻。 次第に変わりゆく日常の中で、緋勇は生まれてはじめて友と呼べる仲間が出来て有頂天(笑)───。 そんな時、新たなる異変が。 渋谷の空を漆黒に埋める鴉の群れ。そして、謎のダジャレ名前の男。このふたつの接点を確かめるべく渋谷へ向かう一行... 続き→

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 昼休みの事だった。 廊下で、学食へ向かう龍麻を見つけた京一は、(どれ、一発お昼のご挨拶を…)と後ろから忍び寄り、左手を龍麻の肩に伸ばした。  しかし。 振り向きもせず、ごく自然に龍麻は肩を引き、ひらりと京一の手首を掴んだのだ。 全身が凍り付く思いだった。 龍麻が油断のならない男だということは分かっ... 続き→

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 ~前回のあらすじ~ 新宿にある真神学園高校に来た転校生、緋勇龍麻は無口無表情だけど寂しがり屋の17才。 旧校舎での事件も冷めやらぬ中、放課後、担任のマリアを伴い、新宿中央公園へ花見に出かける緋勇たち。 ひととき人生の幸福を味わう緋勇だが、そこにも異変が起こりつつあった。突如としてあがる悲鳴。一行の... 続き→

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「なァなァ緋勇、今日お前んち寄ってもいいだろ?」  いつもと同じように、後ろから緋勇の背中にのしかかるようにして、京一が尋ねた。 「ああ。」 少し間があって、やはりいつもと同じように短く龍麻が応える。 「へへへッ。」 「……。」 だがこの時、京一にとある策略があったのを龍麻は知らないし、 家に友達が... 続き→

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 さて、今日はどんな理由を付けて緋勇龍麻「で」遊ぼうか。 緋勇といると色々奇妙な事が起きるのを、何となく京一は察した。 確信はないが、一番謎を秘めているのはあの転校生だから。... 続き→

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 ~前回のあらすじ~ 一九九九年、東京。 新宿にある真神学園高校に来た転校生、緋勇龍麻。 古武道の拳技で不良を一蹴した緋勇は、レスリング部の部長である巨漢の醍醐にもその腕を認められるが、中身は無口無表情に悩む、ちょっぴりお茶目なナイスガイだった。 封鎖された旧校舎で行方不明になった葵を捜すため、その... 続き→

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 車を降り、私は運転手に「公園の辺りで停車しておけ」と命じた。 黒のベンツが静かに走り去るのを見届け、目の前の校門を見やる。 明日香学園高等学校。... 続き→

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 生物室に移動、って今聞こえたな。 そうか、次は教室じゃないんだ。移動しなくちゃ。  生物の小谷は、クラス委員か生物係に教室移動の連絡をする。 授業中とかHRとかで言ってくれれば助かるんだが、直接その連絡を教えてもらえない(話しかけてくれない)ので、うっかりしてると授業に出られなかったりするのだ。 ... 続き→

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「おおッ? あっけましておめでとさん、アニキ~♥こんなトコで逢うとは奇遇やねッ。」 「……ああ。」 「『ああ。』て! 相変わらずシッブイな~アニキは。正月やで? めでたいんやで? もっと明るく楽しく軽~く『おッめでと~!』と、こう…」 「…………。」 「い、イヤやなあ。そんな冷たい目で...

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「ねッ。昨日あの後どうなったの!?」  アン子が目を輝かせつつ質問をする。緋勇は表情も変えずに、ただ首を横に振っている。 (何考えてるのか掴めねェ野郎だな。ポーカーフェイスにも程があるぜ。)  昨日の一件───佐久間との乱闘───について、語りたくないのか、どうでもいいのか、その表情からは何も解らな... 続き→

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 ~前回のあらすじ~ 一九九九年、東京。 退廃と歓楽、希望と絶望の交錯する街───新宿。 その街にある都立真神学園高校。旧い歴史を持つその高校に、ある日、ひとりの転校生がやって来る。 彼の名は緋勇 龍麻。目は怖いが(笑)その内面は、自分の無口無表情に悩む普通の高校生。心の中にボケとツッコミを持ってい... 続き→

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 転校生が来るという噂で、3-Cは昨日から沸いていた。 尤も男だというので、はしゃいでいるのは専ら女生徒だ。 「ちェッ。どうせ入ってくんなら、グラマー美人とかを期待したかったぜ。」 毒づきながら、内心では「何か」を期待している自分にも気付いている。  蓬莱寺京一は、マリアの後に続いて入ってきた男に注... 続き→

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 ~前回のあらすじ~  真神学園へと転校することとなった緋勇龍麻は、己の無口無表情に悩みつつ明日香学園での最後の生活を終える。 思いがけなく、担任の有間に自分の内面を理解してもらっていたことに感動する緋勇。 そこで何とか他人にフレンドリーな自分を分かってもらえるよう、担任の有間のアドバイス:  1.... 続き→

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 ふ、と窓の方へ目をやると、水滴が一つ二つ付着しているのに気付いた。 荷物が多い日に、ついてねぇな。  傘も持ってないしと思いつつ、体操着やら辞書やらといった、学校に置きっ放しの道具全て詰め込んだ紙袋を持ち上げる。 もう片方の手で学生鞄を取り上げ、もう一度空を仰いだ。... 続き→