ベミ
俺はお前に何かしたのか?それとも何かの謎かけなのか?
その日醍醐は痛む胃に手をあてて、何やら作り始めたらしい龍麻の後姿を眺めていた。
今日醍醐は珍しく学校を休んでいた。
それというのも、連日に次ぐ戦闘の疲れと、京一と龍麻という二人の友人の行く末を案じて(妄想の世界が暴走した)あまり、とうとう熱を出して寝込んでしまったのだ。
そしてそんな醍醐を見舞いに5人がやって来たのはいいのだが、どういうわけか龍麻が居残って醍醐宅にて夕飯の準備なるものをしているのである。
それはそれとして、非常にありがたいし嬉しくもあるのだが、いかんせんその格好が問題であった。
黒いふわふわのワンピースに白いフリルつきのエプロン。
まごうことなき典型的メイド服というやつだ。
しかも、男の癖に何故か違和感がない。いや、むしろ似合っているなどと感じるあたり、既に末期症状に近い醍醐であった。
なんでだ?なんでそんな格好をしているんだ、龍麻!
聞きたくもあり、だが尋ねるのも怖い気がして、醍醐は黙ったままそっと服の上からまた痛み出した胃の辺りをそっとなでた。
龍麻はというと、そんな醍醐の心情などちっとも知らずに、ただ黙々と調理に励んでいる。その姿は、この格好になんら疑問を感じていないようである。
調理すること数十分。
出来上がった料理をテーブルの上に並べてテーブル横にジッと佇む龍麻に、ついに我慢の限界に達した醍醐が尋ねた。
「た・・・龍麻。ちょっといいだろうか?」
「?」
「その格好のことなんだが・・・」
「・・・」
「うっ、いや。別に似合っていないとは言わないが・・・って何を言っているんだ俺は・・・」
「・・・・」
「その、な。何でメイド服なんか着てるんだ?」
「・・・お手伝いさんの正装だ。」
「は?」
「遠野がそう言って俺に持たせた」
「あいつか。いや、そんなことより・・・」
「・・・料理(ボソ)・・・」
「あ?」
「早く食べないと冷める・・・」
「ああ・・・いただきます。」
醍醐は何か釈然としないモノを感じながらも、龍麻の無言の圧力に負けて料理に手を伸ばした。
だが次ぎの瞬間、
「他に御用はないでしょうか?ご主人様」
お茶を差し出しながらそう言った龍麻の言葉に、箸を落としてフリーズする醍醐がいたとかいなかったとか・・・。
後日談。
「醍醐君また休んでるんだって?」
お昼休みにいつものように隣のクラスに遊びに来た遠野杏子は、いつものメンバーが一人足りないことを確認するとそう言って所定の場所に腰を下ろした。
「ああ、あいつなら1週間入院だと」
「入院!?」
「なんかとうとう胃に穴が開いちゃったみたいでさー」
「醍醐君大丈夫かしら?」
ほうっ、と吐息をつく菩薩眼の隣では
「・・・・俺の料理のせいか?」
とひとり落ち込む龍麻の姿。
その姿を横目に、龍麻にあることないことを吹き込んだ全ての元凶ともいえる女は苦笑いを浮かべ硬く口を閉ざす。
そして、ついにメイド服の謎は明かされなかったのである。
2003/06/25 01:42 奪
ベミ「お久しぶりです。
ホントに久しぶりなのに、ヤマもオチもイミもない作品で申し訳ございません。やはり3年数ヶ月のブランクは長かったようです。(リハビリせねば。)なんか働いていると、1日があっという間で、書きたい気持ちだけが先走っている感じです。
書いてても途中で止まって、「つまらん!お前の話しはつまらんっ!!」(by某CM)と心の中でツッコミを自らに入れて消去してしまうことも多々。中々思うに任せません。
まあそんなことはさておき、百万hit&お誕生日おめでとうございます!大変遅れ馳せではございますが、この場を借りてお祝いの言葉を贈ります。(言葉だけで恐縮なんですが(^^;))
これからも、お身体に気をつけて頑張ってください。」(2003/06/25 01:42)
サーノ「いやーお久しぶりです〜元気そうで何より。しかしこの話、ワタシの記念画像用SSかと思ったわ(笑)。醍醐が末期で最高でした(酷)。しかしアップが遅れてゴメンなさい!」2003/07/25 17:30