勇者タツマの冒険 〜旅立ち〜

如月えみり

「・・・さん。朝ですよ。龍麻さん、起きて」
・・・誰かがオレを呼んでる。・・・もう朝・・・?
「龍麻さん、おはようございます。よく眠れた?」
あ、お母さん。おはようー。うん、ぐっすり眠れたよー。・・・でも口では上手く言えないのでうなずいとこう(泣)
・・・いつになったら思ったこと上手く口にだせるんだろう。やっぱり朝はさわやかに『お母さんおはよう!今日も良い天気だね!いつも起こしてくれてありがとう!オレ幸せだよ!』とかって言いたいなァ・・・
「・・・なのだけど・・・龍麻さん?」
はッ。ぜんぜん話聞いてなかった(汗)な、なんか訝しげにこっちを見てるし、とりあえずうなずいとこうッ(汗)
「そう・・・では、お願いしますね」
って何をオレはお願いされたの?
ああお母さん、行かないで〜〜!せめて、せめてお名前をッ!ってこんなとこでボケてどないすんねん!(ビシッ)
あああ〜こんなこと考えてる間にお母さん行っちゃったよ・・・わ〜んオレのバカ〜〜(泣)


あれからなんとか頑張ってお母さんを呼びとめたオレは、さっきの用件を聞こうとした。
・・・けど・・・けど・・・言葉が出ない〜〜!頑張れオレ!負けるなオレ!さあ行くぞ!せーの!
「・・・さっきの・・・」
偉いぞオレ!良く頑張ったな、誉めて遣わすぞ!へへーありがたき幸せ・・・ってなことやってる暇無いって!今度こそ聞き逃さないようにしなきゃ!
「・・・さっきのって・・・ああ、王様の所に行く件ね?」
そうそうそれそれ。そっかー、オウサマの所に行くんだったのかー・・・ってオウサマってダレ?苗字?名前?でも、名前にしては辺だなー。
・・・オウサマオウサマ・・オ・・ウ・・サ・・マ・・・オウ・・・サマ・・・
!わかった!王貞治さんの事だね!お母さんてば丁寧に「様」なんて付けるからオレちょっとわからなかったよ!
でも、王さんに「様」付けるなんて・・・実はお母さんてば熱狂的ファン?
「・・・どうしました?お城の行き方がわからなくなりましたか?」
お城?家じゃなくて?・・・そっか!お母さんは王さんの住んでる家をお城と呼んでるんだね!さすが熱狂的ファンは違うな!
「お城はここを出て・・・」
おっと、お母さんが行き方言ってる。メモメモッ!


・・・ここはどこでしょう・・・
あれからお母さんの言った通りに来たら、王さんの家じゃなく本当にお城がありました・・・。その上門の前から中の様子をうかがっていたら、兵隊さんにものすごーく広い部屋に連れて行かれました・・・や、やっぱりオレ、無意識のうちにガンたれてたのかな?(汗)そ、そんなつもりはなかったんだけど〜(泣)
・・・よく見たら、連れてかれた部屋にはすでに先客がいた。
立派な椅子に座ってるって事は・・・こ、この人に怒られるのかな?ふ、不可抗力なのにぃ〜〜
「良く来てくれた。勇者タツマよ」
・・・へ?怒られるんじゃないの?てゆーかユウシャって何?
あ!「ユーはタツマよ」って言ったのかも?そっかそっか〜。・・・でもなんか最近耳が遠いのかなー。よく聞き間違いするなー。気をつけなきゃな。
でも、今更オレの名前教えてもらっても・・・てゆーか自分の名前くらい知ってるし。しかもなんで「ユー」なんだ?それじゃ「ミーはおフランス帰りザンス」って言ってるのと同じじゃないか?
・・・て事は・・・この人はイヤ○のファン!?だからイ○ミの真似してるのか?でも、格好は普通だな。なんでだ?・・・あ、きっと誰かが許してくれないんだな、○ヤミの格好。だからせめて口調だけでも真似ようとしてるのか・・・う〜ん、奥が深いッ!
「・・・と言うことで助けてはくれないだろうか?」
へ?あ、また聞きそびれた。何を助けるの?・・・まさかイ○ミの格好するのを許すように人を説得しろ、なんて言わないよね?なかなか自分の思ったことすら言えないのに(泣)、人の説得なんて出来ないって!・・・それともまさかオレのこの鉄面皮でみんなを脅せ、とか言うんじゃないよね?ダメダメダメ!ぜーったい無理!!
「無理を承知なのは重々承知している。だが助けてもらえないだろうか」
無理だって!頼むのならほかの人に頼んでよー!
「無理を承知なのは重々承知している。だが助けてもらえないだろうか」
無理ですってば(泣)諦めてよー!
「無理を承知なのは重々承知している。だが助けてもらえないだろうか」
・・・この人しつこい(泣)
無理だって言ってるのにー。思わずため息が出る。ふう。
「おお!引き受けてくれるか!」
・・・はい?オレため息ついただけなんだけど・・・ってこの動作がうなずいてるように見えた!?ち、違うってばー!
「だが彼の者の力は巨大じゃ・・・恐らくそなた一人の力では太刀打ち出来ぬだろう・・・『冒険者の宿』で仲間を集めてから行くと良い」
な、仲間!?オレに!?ってことは、と、友達になってくれるかな!?(わくわく)
・・・ちょっと待てよ?オレこれから人の説得(恐喝)に行くんだよね?ってことは、仲間って言うのはもしかして・・・強面のお兄さん達ですか?それでみんなで脅かしに行くの!?・・・オ、オレ帰って良いですか?(泣)
「さぁ、勇者タツマよ!旅立つのだ!」
・・・やっぱり行かなきゃダメですか〜しくしく。


やっとのことで着きました。『冒険者の宿』とやらに。
あの後立派なイスに座ってた人(結局あの人は誰だったんだろう?)ってば場所教えてくれないもんだから、かなりさまよっちゃったよ・・・町の人に思いきって聞いてみても全然違う事しか言ってくれないし・・・ううっ、都会の人は田舎者には冷たいんだね、おっかさん・・・
さ、さあ気を取りなおして中に入ってみよう・・・こ、強面のお兄さん達いっぱいいないといいなぁ・・・(どきどき)
・・・ってあれ?なんだか普通の宿屋みたいだ・・・こんなとこで強面のお兄さん達仲間に出来るのか?
「お、ひーちゃんじゃねェか」
うわッびっくりした。いきなり声掛けてくるんだもんなァ・・・ってその声は・・・京一?なんでこんなとこにいるんだ?ここは強面のお兄さん御用達のお店じゃないの?
「ひーちゃん、聞いたぜー。九角の所に行くらしいじゃねェか」
え?なんで京一オレが説得しに行くの知ってるの?しかも良く考えたらオレ行き先聞いてなかったのに、なんでお前知ってるの?
「一人で行こうなんて水臭いじゃねェか。オレも付き合うぜ!」
え?い、いいの?そりゃ、俺一人でなんて説得なんて絶対無理だし、すっごく嬉しいんだけど・・・ほんとにいいの?
「おう!行くぜひーちゃん!」
うん!頑張ろうな!!

剣士:キョウイチ が 仲間になった!(ちゃりらりらーん)

・・・ってギャーーーーーーーーッ!今の何ーーーーーーーーッ!?か、勝手に口が動いたッ!ど、どうしよう!?もしかしてどっかからの電波!?オレもとうとう未知の世界の住人に!?イーーーーーーーッ!
「ひーちゃん?どうした?」
い、いやね、なんか今本当の両親の姿を垣間見た気がして・・・
「おーい、龍麻クーン!」
わッ!またどっかからの電波!?・・・でも聞いたことある声だぞ?
「小蒔じゃねェか。なんでこんなところにいんだ?」
あー、桜井か。でも京一じゃないけど、なんでこんなところに?ここは強面のお兄さんがいっぱい来るところだぞ?
「龍麻クン、アイツのところ行くんでしょ?ボクも行くよ!」
へ?桜井も知ってるの?なんで?まさかあの立派なイスに座ってた人、みんなに言いふらしてる?
「ボク、葵がアイツに攫われたって聞いて・・・じっとしてなんていられないんだ!」
み、美里が攫われてたの!?それも初めて聞いたぞ!?・・・ってことはもしかして、イ○ミの格好が出来ないのは、葵が攫われている所為!?じゃ、じゃあオレが言われた事って説得じゃなくて人質救出!?
「お願いだよ、龍麻クン!」
・・・そうだよな。桜井は美里と仲良いし心配だよな。・・・よし!みんなで行こう!
「うん!ありがとう龍麻クン!それじゃ、いっくよー!」
うん、頑張ろうな!

魔法使い:コマキ が 仲間になった!(ちゃりらりらーん)

・・・ってまたッスか!?また電波!?電波君ハ一体ボクニ何ヲサセタインダイ?そのうちオレ改造させられちゃうかも!?・・・って、も、もしかしてバッタと合体したら仮面○イダーになれるかな!?(わくわく)
「んじゃ行くか、ひーちゃん」
あ、そうだね。強面のお兄さん達仲間に出来なかったけど・・・い、いいよね?人質救出だし。
それじゃレッツ・・・
「待て、龍麻」
ーーーーーーーーーーッ!ごめんなさいごめんなさい。強面のお兄さん連れてきますのでいぢめないでーーーッ・・・ってまた聞いたことある声?
「よう大将じゃねェか。どうした?」
あ、醍醐だったのかー。よかった、強面のお兄さん達じゃなくて。どうしたの?
「うむ・・・お前が九角の所に行くと聞いてな・・・」
え?説得に失敗しないよう応援に来てくれたの?応援ってことはチアガール?あ、でも醍醐がやるんならチアボーイ?・・・でもミニスカート姿の醍醐はなんだか想像つかない・・・・・・って単純に応援団って思えばいいやん、オレ!(びしッ)
・・・あァなんだかボケもツッコミも停滞気味・・・(しくしく)
「その・・・俺も一緒に行かせてはもらえないかと思ってな」
え?醍醐も来てくれるの?ほ、本当にいいの?
「仲間の危機には駆けつけなくてはな」
な、仲間?オレ仲間!?・・・って事は友達になれる可能性大だよね!・・・あ、でも仲間って美里のことかもしれないし・・・(しゅーん)で、でも一緒に来てくれるのは嬉しいさ!本当だぞ!?
「よし。では龍麻行くぞッ!」
うん、頑張ろうな!

僧侶:ダイゴ が 仲間になった!(ちゃりらりらーん)

・・・もういいデス(泣)電波君の思う様に動かしてください(泣)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・いいの?オレ勝手に動いちゃうよ?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ああ、自分で自分を動かせるってなんていいんだ!神様ありがとう!でも出来れば表情ももっと自由に動かせればもっと感動だったんだけどな!(泣)

じゃ、気を取りなおして!4人で美里を助け出して、立派なイスに座ってた人が思う存分イヤ○の格好を出来るように頑張るぞーーーーー!!
「「「オーーーーーーーーーーッ!」」」



こうして。
勇者タツマ、剣士キョウイチ、魔法使いコマキ、僧侶ダイゴは、姫アオイを助け魔王コヅヌを倒すべく旅立っていったのだった。
・・・但し勇者タツマが目的を完全に理解しているかは、いまだ不明のままである・・・


2001/06/12 奪


50万ヒットおめでとうございます♪
す、すみません。お師匠様のひーちゃんで書こうとしたのですが・・・途中から別人と化してしまいました・・・(汗)
なので、設定同じで違うイキモノと思ってください・・・(><)
こ、こんな妙なモノしか送れなくてごめんなさいッ!では!(逃走ッ)(如月えみり)


やっぱ、えみりんのギャグSSはサイコー☆
RPG風味ってのは誰かがやってくれるかなーと期待してたんですが、期待以上でした(笑)
しかし…きっとこのパーティも、全員誤解したまま目的達成してハッピーエンドなんだろうかと思うとちょっとヤだね…(^^;;)
というワケで、続編希望!(爆)(サーノ)