光記
「はぁはぁ・・・・」
捕まったら終わる・・・・・・・
そう思い何処までも続く道を必死になって走る・・・・・
「はぁはぁ・・・くそっ!なんで俺がこんな目にあわなきゃならねえんだ!」
自分の運命を呪いながらも足を休めることなく走りつづける・・・・・
「止まったら俺の人生は終わっちまう・・・・・ちっ!隠れる所はないのか!」
いまだ後ろから黒い気が近づいてくるのが分かるが、隠れる所も無く絶望感が襲ってくるが、それでも止まるわけにはいかない。
まだ死にたくはないのだから・・・・・・
「はぁはぁ・・・・この蓬莱寺 京一様ともあろう者が、逃げる事しか出来ねぇとは情けねぇぜ!」
敗北感が自分を襲ってくるが、それでも戦う訳にはいかなかった、臆病者と思われても今の自分には逃げる事しか
手立てが無い事を自分自身が良く知っていたのだから・・・・・
「こ、こんな事なら思いっきり青春を謳歌するんだった・・・・まだ見ぬオネエチャン達すまねぇ・・・・」
『ぐぁぁぁぁぁぁ!!!』
そう思いながら走っていると、後ろのほうから見知った者、醍醐の叫び声が聞こえて来た
「だ、醍醐が犠牲になったか・・・すまん親友の癖に助ける事の出来ない無力な俺を許してくれ・・・・」
そう、親友に謝罪の言葉を述べると同時に《いよいよ次は俺の番だな・・・》と心の中で覚悟を決めていた。
そうしていると曲がり角が見えその他にも部屋がいくつか見えた時、京一は心から安堵した
「へ、部屋だ!助かった・・・・これで隠れられる・・・」
そう言いながら、部屋の中に入ると手近にあったロッカーの中の一つに隠れて様子を見ることにした。
ドクッ、ドクッ、ドクッ・・・・・・
心臓の音と共に冷汗が吹き出てくる・・・・・・
《まだ死にたくねぇ・・・・・・・》
それだけが京一の心の中を占めていた・・・・・恥も外聞も無く・・・・・・
どれほど経っただろうか・・・・
京一の中では数時間にも感じられるほど長い時間に感じられたが、どれだけ経ってもやってくる気配を感じなかったので、
《助かったのか?》
と、一瞬安堵しかけた京一だが、
ドスン…ドスン……ドスン、ドスン
地響きが近づいてくるにつれ再び冷汗が吹き出てくる・・・・・・
《見つかったか?》
無駄だと分かっているがなにもしないまま死ぬのはイヤなので何時でも戦えるように臨戦体制を整えていたら先ほど感じた
黒い気を持つ者も近くに居るのに気付いた時にそれは聞こえてきた・・・・
『ヒヒッ、ヒヒヒヒヒヒヒヒ・・・・・・』
『んうふふふ〜〜〜〜〜』
《なっ!!二人同時なのか!?・・・・・・・終わっちまった》
ただでさえ一人でも勝てる気がしない人外魔境の物体が二人もそろったのだ・・・・・
もはや京一の心には《人として終わった》という絶望感と《男として終わった》という喪失感に覆われていており、
もはや覚悟を決めてロッカーの中で死を待っていた・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・?
まだか?・・・・・・・・・・・
何時まで経ってもヤツらが来る気配がない、京一は《行っちまったのか?》と思い気配を探ったが、さっきまでの気配は
完全に無くなっていたのを感じた・・・・・・・
《やった!神様仏様ありがと〜〜〜〜〜!》
心の中でひたすら狂気乱舞した京一は外の空気を吸おうとロッカーの中から出ると背伸びをして開放感に酔いしれた
「く〜〜〜生きてるってなんて素晴らしいんだ〜〜〜〜!」
思わず叫んでしまったがそんな事は気にならないぐらい浮かれていたが、
「ヒヒッ、ヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ・・・・・見つけたよ京一」
ビクッ!
後ろから声が聞こえた瞬間、京一は体が硬直した、更に
「うふふふ〜〜〜〜〜きょ〜いちく〜〜〜ん、みつけた〜〜〜〜、んふふふふふふ」
地の底から響くような声まで聞こえてきた・・・・・・
ギギギギギ・・・・・固まった体を首だけ後ろに向けるとそれは居た・・・・
暗闇の中で光る四つの目がこちらを向いていたのを見た瞬間
「んぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
そう叫ぶとあまりの恐怖に腰が抜けてしまったたが、京一はそれでも逃げ様と這いずる様に後ろへと下がって行った、
「おまち、何を逃げるんだい?ヒヒッ、ほら、おいで!京一、可愛がってあげるよ」
「んふふふふ〜〜〜何で逃げるの〜〜〜ミサちゃんとあそぼ〜〜〜〜うふふふふ」
逃げる京一にそう言いながら二つの物体はだんだんと近づいて来た・・・・・
「よ、よるな・・・・寄るんじゃねぇ〜〜〜!!」
せめてもの抵抗に背中に背負った木刀を振り回す京一・・・・・
近づいて来る物体・・・・・・
《いやだ!いやだ!イヤだ〜〜〜〜》
そう思いながら目を閉じ命の限り思いっきり叫ぶ
「助けてくれ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
「ギャァァァァァァァァァ……」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜完〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
2001/06/12 奪
50万ヒットおめでとう御座います。
何時も楽しく読ませて頂いています。
これからもがんばって面白い作品を書いていって下さい。(光記)
はっはっは! 「終わった…」って何でやねんー!!(びし)
…あ、失礼(^^;;) いやでもコレ、ツッコまずにはいられないです。
哀れ京一…(ついでに醍醐)何で追われてるんですかね?
しかし、たか子センセ&裏密って最強タッグですね(^^)
全然お題とはカンケーないんですが、この二人の強さがファンタジック(笑)ってことで。
(サーノ)