伍拾萬接触記念リレー小説「緋勇とふぁんたじっくな仲間達」

参加者一覧

〜プロローグ〜
 宿題の英作文をようやく終えて、龍麻は立ち上がった。
苦手な科目に取り組んでいたせいか、旧校舎での「鍛錬」が殊のほか厳しかったせいか、ひどく眠い。
京一も、今夜はどうやら来ないようだ。
後片付けを手早く済ませると、早めに寝ることにした。
(疲れてると、決まってあの「ストレートに願望が叶う夢」見ちゃうからイヤなんだけどな…ま、いっか…お休みなさ〜い)
 元々寝付きの良い方だが、今日は身を横たえるや否や、夢の世界へと誘われていったのだった………


緋勇「……。(こ…ここ、どこ? …あ、また夢か…)」

 どうやら今日の夢はファンタジー風味らしい。自分が妙な恰好をしているのに気付き、緋勇は頭を掻いた。

緋勇(さてと。みんなは居ないのかな?)
京一「う、うわああιιひ、ひーちゃんっっ、なんだそのカッコは〜っっ!!!(汗)」
緋勇「……。(え、に、似合わない? ファンタジックに橙や紫の炭酸飲料の方が良かった!? ←それはファ○タやッ!)」
醍醐「………そういう京一もその格好はどうかと思うぞ?」
京一「それを言うならお前もだろ! 俺はお前と違って何着ても似合うからいいとして…タイショー、それは犯罪だぜ?」
小蒔「やっほー! みんなここにいたんだぁ。わぁ! ひーちゃんかっこいい!! 勇者様って感じだね! …で二人は何?」
緋勇(か、カッコイイ…そうか、夢だもんな。しかし夢なのにいつもと違ってつーかいつも通り? 喋れないなオレ。む〜何で?)
京一「見て分かんねェか? 俺はカッコイイ剣士様じゃねーか。つーか小蒔…お前こそ何だよ、その女装。」
小蒔「カッコイイ? ボクには変なコスプレにしか見えないんだけど?」
美里「似合ってるわね 小蒔」
小蒔「あっ、葵! えへへへ……。ありがと! そう言う葵も似合ってるよ、それ。ねっ、ひーちゃん!!」
緋勇「……ああ。(きゃー! 肌出しすぎでしょ、それ!! つーか夢って事は実は願望? でも怖いんですけどーー)」

 葵は天使のレオタードを装備している! 緋勇に100Pのダメージ(笑)v

京一「(…なんだよ、なんかひーちゃんの耳紅くないか?)……と、ところでよォ、俺たちこれから何すんだっけ?」
小蒔「お姫様を救出するとかじゃないの? みんなこういう格好してるってことはさ」

 その時、矢鱈と派手なBGMとともに、着飾ったマリアがあらわれた!

マリア「Hello everyone! 私は女神マリア。これからアナタ達がすべきことをおハナシしますネ」
京一「……ッめが…女神って、そんなカッコしてるのか? ……踊り子の間違いじゃねぇのかよ…」
緋勇「…同感。(な、なんちゅう夢だ。)」
マリア「ウフフ、君達にはちょっと刺激が強かったかしら…?」

 うつ伏せに倒れた醍醐の顔面あたりから、血溜りが微妙に広がっている。実は葵の登場時から

マリア「じゃ、これからワタシは悪の帝王に誘拐されますから、みんなで死力を尽くして助けに来てください」
緋勇「………(何でいきなり先生が誘拐されるんねん)」
柳生「我こそは悪の帝王柳生宗崇! 女、貴様はイラン! 俺がほしいのは緋勇龍麻! 貴様だ!!」

 一同の時間はしばしの間停止した。

京一「ってめぇ、何言ってやがる! てめえなんかにひーちゃんは渡さねえぜ!!」
醍醐(…京一、反論すべき所が少しズレてないか…? いや、概ね間違ってはいないが………(キリキリ))

 先ほどの鼻血と併せ、醍醐に130Pのダメージ!

小蒔「どうしたの? 醍醐クン。……顔色悪いよ? ───あ! いつもの胃腸炎?」
京一「タイショー、夢ん中でまで何やってんだよ…じゃなくって、てめえ柳生! おとなしくマリア先生をさらってけ!」
緋勇「……京一…。(え? も、もももしかして、京一、心配してくれてるとか? きゃー! 嬉し〜☆)」
マリア「……蓬莱寺君、明日放課後職員室まで来ること…いいワネ?」
京一「……卒業、アブナイかも、俺…。いやここはファンタジーワールド!! 留年なんぞ怖くな…いぞ、多分…」

 マリアの持っていた星のステッキ(天使のレオタードのオプション)がバキリと音をたてて割れた…。

美里「うふふ、年って重ねる毎に見にくくなるモノなのね……(にこ)」
小蒔「ま、そんな事はいいからさ。せっかくそこにいることだし、みんなでささっと柳生クンを倒しちゃわない?」
京一「気をとりなおして…行くぜッ! ひーちゃん!」
マリア「…仕方のない子達ネ…行くわよ、Mr.ヤギュー! さあ、コウモリたちよ!」
村雨「どうだい、僕の作った衣装は? さあ龍麻、キミも早くきてみせてくれよ。」
京一「誰だよ、お前」
御門「お久しぶりですね龍麻さん、じつは村雨は柳生の術に掛かってしまっているのですよ…全く、術師の風上にも置けませんね」
緋勇「…そうなのか…。(なんだよ、その奇妙奇天烈な衣装は! 今時漫才師だってそんな衣装じゃないって!)」
村雨「聞き捨てならねぇなぁ? 御門。オレは札師であって術師じゃねーんだよ。さ、龍麻……いやセンセイ、これも装備してくれ」

 そう言いながら、村雨は大阪の食い倒れ人形真っ青のハイセンスな衣装をズイッと差し出した。

裏密「う〜ふ〜ふ〜。似合うわよ〜、ひ〜ちゃ〜ん」

 ファンタジーには必須条件の魔法使い姿の裏蜜が現れた! …がどう見ても黒魔術師(敵っぽいぞ)

京一「う! まさか! お前も柳生に?!」
裏密「う〜ふ〜ふ〜。ミサちゃんは〜実験を手伝ってくれる人の味方よ〜」
醍醐「う、裏密! 俺と京一が実験を手伝ってやるから、…こ、こっちに来てくれないか」
京一「ッ醍醐! 俺を勝手にまきこむんじゃねぇ!」

 真っ青な顔に冷や汗一杯の醍醐が吐いたセリフに京一は驚愕した。

裏密「う〜ふ〜ふ〜、どうしよ〜かな〜。ミサちゃん、迷っちゃうな〜。」

 裏密の言葉を聞いた柳生たちと京一たちの顔色が変わった。

裏密「ひ〜ちゃんが手伝ってくれればいいけど〜?」
緋勇(お、俺ェ〜!? でも俺に手伝いなんて出来るのか? 京一のボケにもツッコめないんだぞ? って誰が相方の募集してんねんッ!)
裏密「大丈夫よ〜黙って立ってるだけでいいからぁ〜。う〜ふ〜ふ〜ふ〜」
柳生「貴様! なにをする気だ! 緋勇龍麻を傷物にしてしまっては話にならんぞ!」
京一「きッ…「傷物」?!! お前、ひーちゃんにナニする気だよッ??!!」
柳生「フッヽ(´ー`)丿無知だな……「傷物」といえばアレだろう魔術はそう言うコトで力を得ることが多い。」
小蒔「ふうん…魔術ねぇ…ねぇ、柳生クンって、もしかしてミサちゃんの新弟子? 助手? それともパシリとか…」
醍醐(いや…桜井……その柳生の台詞は、簡単に流してはいけないと思うぞ……龍麻は…柳生の運命まで変えるのか……ッ)
京一「と、とにかくっ!! ひ〜ちゃんを「傷物」なんかにはさせねぇっ!!」
裏密「う〜ふ〜ふ〜。大丈夫よね〜? 魔法陣描くのに強い力を持つ人の血の方が〜良いから〜そのくらいの献血なら〜」
緋勇(俺の夢なのに…なんで俺の意思が無視されてるんだ……っ)

 ちょっぴりいじけモードの緋勇であった(笑)

裏密「じゃ〜あ〜、吸い取っちゃえ〜」
京一「う…ぐぐ……力、が……でもッ! ひーちゃんの為ならァ……ッ!!」
霧島「ああッ、京一先輩が危ないッ!! 瞬・間・移・動ッ!(しゅたっ)」
裏密「うふふふふ〜。邪魔するの〜? じゃ〜あ〜、君の血も吸い取っちゃうぞ〜。」
柳生「…………。(こいつにまかせておけば、緋勇龍麻以外は全滅だな…フッ)」
霧島「ふっ…ふふははは……

 似つかわしくない不敵な笑みを浮かべ、彼は剣を上段に構えた!

緋勇(な、なんか霧島がヘンだ! これも夢だからかっ!?)
さやか「がんばって霧島くん。あなたならできるわ」
犬神「裏密の密の字が違うぞ」
緋勇「…!(ど、どうして犬神先生まで居るんだ? しかも、状況と関係ないツッコミ…。は、これが東京の正統派漫才??)」
京一「…? どうした、ひーちゃん。んな険しい顔してよォ。なんか気になる事でもあんのか?」
美里「うふふふふ。皆、私のことを忘れてない?(にこり)」

 さあお待ちかね!! この場の最強ボス(つーか本来はヒロインのはず)が真の力を発動まであと五秒!!

美里「ジハー……
緋勇「……!(うわ〜ん 美里が怖いよ〜 たすけてくれ〜)きょ…きょういち……

 何を勘違いしたのか緋勇に飛び乗り突拍子もないことを叫びだす京一

京一「ひいいいいちゃあああん!!(錯乱気味)」
醍醐「うう…お前たち少しは周囲の状況を…(胃痛30%アップ)」
京一「なっ…!! 醍醐っ!! お、俺は美里の必殺技から、ひーちゃんを守ろうと思っただけでっ!!(アセアセ)」
美里「あら、京一くん。私の技は龍麻にだけは当たらないようになってるのよ。うふふ。」

 その時、京一の首筋めがけ、どこからともなく手裏剣が飛んできた! 水流のオマケつきで。

京一「えぶうし!! …この技、てめえかあ!! い、いきなり何しやがるっ!! 骨董屋ぁ!」
如月「この不心得者が!! …龍麻、危ないところだったね。大丈夫かい?」
緋勇「……!(危なかったって…今から危ないんじゃないの〜?! 美里が〜 わぁ〜ん動け口)」
裏密「う〜ふ〜ふ〜。血を吸い取る手間が省けそう〜 ミサちゃんうれし〜」
霧島「京一先輩〜ひどいです〜。修行の成果を見せようと思ったのに、後ろで勝手に攻撃されないでくださいよ〜」

 霧島を無視して、京一と如月は龍麻を挟んでジリジリと互いの出方を伺っている。

京一「いつまで龍麻にひっついてやがる、骨董屋!(怒)」
如月「もちろん、龍麻に危険がなくなるまでだよ、当然だろう? 君こそ敵を前にして龍麻に何をしようとしていたんだい?」
緋勇「京一……何か…しようとしてたのか?(もう! ツッコめなかったじゃん!!)」
小蒔「なんかわかんないけど…ひーちゃんが危ない…そだ。せーの、きゃーっ! 助けてコスモレンジャー!!」
京一「そんなモン呼ぶなぁーーーー!!」

 無情にも京一の叫びを無視し、かの有名(?)な大宇宙賛歌のイントロが流れ出す!

紅井「この世に悪がある限り…」
黒崎「正義の祈りが我を呼ぶッ!!」

 しかし、この後のセリフを言うべきコスモピンクの姿は見えない。一体どうした、コスモレンジャー!

紅井「ちぃっ! 緋勇、いやコスモグリーン! 出番だぞ!」
桃香「……え? ええ? ち…ちょっと?! それは私の…」
黒崎「待て、レッド。緋勇はコスモブルーだと言っているだろう!」

 内輪もめしている間にピンクが大変なコトになってるぞ!

アラン「HAHAHA! ブルーはボクデース! アミーゴは何色がイイデスか〜!?」
黒崎「フッ…。ブルーと言えば、ブラックに次ぐクールなヒーローと相場が決まっているんだぞ? アランではつとまらない!」

 哀れピンクは裏密の足元に倒れている。裏密の手には、何やら怪しげな液体の入ったビンと布が握られていた……

桃香「レ、レッド! ブラック! …仲間のピンチを救ってこそ、真のヒーローと言えるはずよっ!!(早く助けなさいよ〜)」
紅井「ピンク!(やっとピンチなことに気付いたらしい)今助けるぞ! 行くぜ、グリーン!」
緋勇「………(よし!! 今こそコスモレンジャーに入れてもらうチャンスだ。とりあえずさわやかな笑顔を…)」
   <にこ>(のつもり)

 思わず息を呑む一同。みんなの視線が痛い。

裏密「………………アタシと〜ひーちゃんは〜……前世からの因縁で〜離れられない関係なの〜〜」
緋勇「(くそー恨むぞ裏密。俺の一世一代の笑顔を、ってまさか笑えてなかったのか? オレってはずかしー! うわ〜みんなが見てる。あやまらなきゃ。ごめんご、ごめんご。よし! これでいこう!!)……
京一(な、何だよひーちゃん。さっきの笑顔は。…お前まさか、自分だけ犠牲になろうって腹じゃねェだろうな?)
京一「早まるなひーちゃん!! 俺がついてるぜ。(赤面)」

 京一の言葉に醍醐の胃はますますきしみ、如月の血管ははじけ、美里の顔面がひきつる。(怖)

 トランス状態の美里が得意技「失神」を発動した!!
美里「きゃっ突然立ちくらみが……(ささえるのよ、龍麻)」
緋勇「…!?(え、俺が支えなきゃいけないの? 女の子には触れないんだってばさ〜。京一、何とかしてよ〜)」
桃香「…あの〜… ま、まだ助けてもらえないのかしら、私〜」

 その時、フラッシュの光と共に、あの人がやって来たのだった(良い子の皆、誰かは当然わかるよね)

絵莉「あら、みんなこんな所にいたのね。探していたのよ───いろんな……そう、いろんな所を、ね」
杏子「ふっふっ、私とエリさんの調査能力があれば、見つけられないモノなんかないのよ! みんなだけで楽しそーなことしちゃって! 激写!」

 その絵莉と杏子の背後から、叶姉妹もびっくりな胸強調衣装を身につけた藤咲と高見沢が!

藤咲「あら、あたし達を呼んでくれないなんて、ちょいと酷いんじゃない?」
高見沢「そうよねー。ダーリンったら、麻衣子とも遊んでくれないと、泣いちゃうからあ」

 緋勇に藤咲と高見沢のダブル(セクシー)スキンシップ攻撃開始

緋勇「(うわーうわーうわー、そんな服いくらなんでも寒いんじゃ…いや、そんなこと考えてる場合じゃなく!)……
壬生「龍麻、大丈夫かい? 遅くなってすまないね。」
比良坂「龍麻さん、私、私……どんな危険な道でもアナタに付いていきたくて……後悔しません、連れて行って……!」

 なんだか人口密度が増えてるぞ! そういえば柳生は…あ、いたいた。すみっこのほうで地面に『の』の字を書いていじけてるぞ。

比嘉「なあ、さとみ。このいじけてるのって誰だ?」
さとみ「さあ……? でも、あの顔で学生服(しかも赤の)だなんて……犯罪だよね…。」

 ぐさっ! 柳生に120ポイントのダメージ(気にしていたらしい)

緋勇「(何でいまさらこの二人が…? ってゆーかこの場合みんなに紹介するべきなのかな? う〜ん…とりあえず挨拶をしなくっちゃ!! よ〜し 力を抜いて)……ひ…久しぶりだな……
京一「(な、なに〜ひーちゃんの昔の友達だとぉ!! ひーちゃんの過去を知るチャンスじゃねか。ヨシッ)お、おいそこの二人…」
比嘉「ああ! 緋勇、久し振りだな! えっと…こっちは、今の学校の友達か?(と、京一のほうを見る)」
京一(友達ィ? 親友だッ! 親友ッ! な、そうだよなッ、ひーちゃん!)
緋勇「(うん、そう♪ホントは親友! とか言いたいんだけど…なんてまた図々しいっつーの、オレ!)……仲間…だ。」
京一「(何で親友って紹介してくれねえんだよ!)まあ、マブダチってやつかな。で、ひーちゃん、こいつらは?」

 緋勇の背後には、相変わらず露出度全開、ファンタジーの王道とも言える衣装の藤崎&高見沢が張りついている…

緋勇(ぎゃ〜〜! 比嘉達のこと紹介したいけど、う、後ろが…や、柔らかくて怖くて集中できない〜! ぎゃー!)

 その上、仲間たちは何だか変になってるし、赤学ランの人は勝手に死にかけてるわで、緋勇は混乱極まっていた。

高見沢「敵の人も勝手に倒れてるしィ〜、舞子ォ〜、このままダーリンとデートがしたい〜♪」
壬生「これだけ人数がそろってるんだ、方陣技であっという間に決めてしまおう。龍麻、いいかい?」

 高見沢たちを冷ややかな眼で見やりつつ壬生は言う。

京一(くっそ〜オレとひーちゃん二人のだけの方陣技ってねーんだよな、壬生の奴新入りのくせに汚ねえぞ)

 嫉妬のあまり壬生を睨みつける京一を無視して、壬生はおなじみのセリフをしゃべっている。

壬生「陰たるは空昇る龍の爪……
京一「………裏密。壬生の血ィもよさそーじゃねぇ? なんなら俺協力するぜ?(龍麻と二人で技なんか出させるかってんだ【怒】)」

 ふと、裏密を見ると瀕死の赤学ランの人の採血をしているところだった(もちろん無許可)

京一(う………

 京一は少し後悔したが、後の祭だ。裏密は京一のほうを見ると、怪しく笑った。

裏密「う〜ふ〜ふ〜…その言葉を待ってたの〜 」

 一方、緋勇は半ば条件反射的に気を高めてしまっていた

緋勇「陽たるは、星閃く龍の爪…」
裏密「万物は陰と陽があって初めて物体が形成される〜。さあ〜、ひ〜ちゃん、壬生く〜ん、ミサちゃんに協力してもらうわよ〜(ニヤリ)」
京一(や…やべぇ! このままだとひーちゃんが危ない!!)
美里「だめよ、ミサちゃん。龍麻の血は私のものなんだから。うふふ。」
比良坂「……はたしてそうでしょうか? 美里葵さん。」
京一「(うぉ〜陰陽のヒロインの登場かよ。まあオレのヒロインはひーちゃんだけだぜ<緋勇に意味ありげに目線を向ける>)」
美里「…違う、って言いたいの? 比良坂さん。(にっっっこり♪)」
マリア「(柱の影から二人を見守り)美里サン…。それに他校生の彼女も、緋勇クンの血を狙っていたなんて…!!」

 ヒロイン二人の仁義無き戦いの火蓋がきっておとされようとしていた…(狙われた当の本人は別のピンチに陥っていたが)

裏密「うふふ〜今のうち〜 エロイムエッサイム……
緋勇「(うわ〜人が多すぎてわけわからんぞぉー! ったく、オレの頭は十人までなの! ハッ、そうかおれの夢なんだから消しちゃえばいいんだ。ん〜名案)」

 緋勇がそう思った途端、いきなり世界が暗転して全ての人物が消えてしまった。独り残され呆然とする緋勇。

壬生「…何故方陣技が出ない? …! 龍麻! 君のせりふ…龍の牙、では…?」
緋勇「(く、紅葉!? まだいた、っていうか…つ、ツッコミ? それ、ツッコミなの!?)」
如月「(煙のごとく現れて)やれやれ…龍麻、そろそろ時間のようだね。レム睡眠には一定の周期があるんだよ」
緋勇「(え〜ん、俺全然喋ってないよ〜)…そうか…」
如月「ちなみに僕は、あくまで君の意識のストッパー役として現れたにすぎない。…というわけで壬生、君も退散したまえ」
緋勇「……(??? え〜ん、如月言ってること難しくてよくわかんないよ〜!! だいたいこれ、俺の夢なんだろ〜!?)待て…」
京一「だああぁッ、この亀忍者! いい加減、ひーちゃんから離れやがれ! 剣掌…旋ッ!!!」
如月「飛水流闘拳返し(避ける)、バカ猿に亀よばわりされる筋合いはない! 玄武変、うおぉぉぉぉぉ〜」

 如月は亀(別名玄武)に変身した!!

京一「本性を現しやがったな亀! てめぇなんかにひーちゃんはわたさねぇ! いくぜ!」
緋勇「(うわ〜ッ! ガメラだガメラだっ! …って、京一! ガメラは子供の味方なんだぞ! 攻撃しちゃ駄目だ!)…京一…よせ…」
京一「なっ…!(ひーちゃん…!? ひーちゃんは、俺よりもあいつの方が大事だって…あいつの方がいいっていうのかよ!?)」
如月「ふっ……。これでわかっただろう? 君が思ってるほど龍麻は───

 ふと、何かに気づいたように亀…如月は京一を見た。

如月「き…君はなんて格好をしているんだい…?」
緋勇「…。(えっ。京一がどうかしたのか? 如月…うっ。)」

 なんと、京一はゴジラの着ぐるみ姿だったのだ!

緋勇(シ…シッポが動いてるっ!! どんな構造になってるんだ?! 京一!!)
京一「な、何だこのカッコはーーーーーっ!!!???」
壬生「これは…(ハッと気づいて)龍麻、わかっただろう? 今こそ僕たち、双龍の出番なんだ!!」

 壬生が手をかざすと、龍麻の全身がすさまじい光を発した!!
 龍麻の勇者な服が、みるみる内にちぎれていく!! こっ、これはまさか!!

如月「壬生…それはまさかモスラを呼ぶ…双子の…古すぎるだろう、それは(涙)」
緋勇(リ○ーズが解るなんて…如月ってば歳誤魔化してるだろ…って解る俺もどうかしてるか)
京一「ひーちゃん! なんで俺がゴジラなのに、ひーちゃんは壬生とおそろいの衣装なんだよ!!(悲)」
如月「ツッコミの入れ所が違うだろう、バカ猿。それとも何か、お揃いの衣装なら女装でもいいと?」
京一「ひーちゃんのためだったら、女装だろうが腹踊りだろーがなんだってやってやるぜッ!」
緋勇「(京一…こんなオレにそこまで言ってくれるなんて…今なら死んでも文句ないや)し…死んでもいい」
壬生「た、龍麻ッ!?」
京一(クソッ ひーちゃんはそんなに<生>に執着がねえってのかよ? オ、オレは…オレは…)

 その時! 凄まじい勢いでアランが通り過ぎていった!!

アラン「HAHAHAHAHAHAHAHAHAHA……。」
壬生「来た…モスラが……
京一「アランがモスラってことは…ゴジラやキングギドラは一体誰なんだ〜っ!!」
如月「ゴジラは君だろう。自分の姿を無視したところで、どうにもならないという事が分からないようだな。」
京一「そういうお前はガメラか、この亀!!」
緋勇「(ガメラにゴジラにモスラ…。怪獣大決戦(うっとり)。オレもリリー○じゃなくて、カッコイイ子供達のヒーロー役が)やりたい…」
京一「ひ、ひーちゃん…や、や、や、やりたいって何を…(汗)」
壬生「フッ…。君も無粋な奴だ。やりたいと言えばアレしかないだろう。」

 と言って壬生はおもむろに制服を脱ぎはじめた。
 何をするのかと思いきや、針と糸を取り出し手芸部の本領を発揮し始めた。(なぜ脱ぐ)

壬生「…よし。できたよ龍麻…。」

 壬生が渡したのは、拳武館の校章がみごとに縫取られた制服だった!

壬生「さ、僕とお揃いの制服だよ。表裏はやはりいつも一緒にいなければね…館長も喜ぶよ、すぐにでも拳武館へ転校しておいで。」
京一「そ…そそそんな危険な場所にひーちゃんは行かせねぇ!! ナニされるかわかんねぇぞ! ひーちゃん!!」
如月「蓬莱寺の言うことにも一理はある。そんな制服より、こちらの方が龍麻の好みではないかい?」
緋勇「(はっ…それはウルトラ警備隊の制服!! オレなんかが着てイイの? いいの?? ちょっと嬉しいかも…)そうだな…」
京一「ひーちゃん! そんなのよりこっちこっち! 俺とおそろいだぜ♪ ほら、しっぽも動くメカゴジラ! 銀色に光って眩しいぜェ!」
緋勇「(メ…メカゴジラ! き…着たいっ! そんでもってゴジラ対メカゴジラM8のBGMにのってミサイルとかぶっ放してみたい〜)…ああ」

 龍麻以外の3人の視線が交錯し、火花がちった!

如月「龍麻、無理しなくていいんだよ、君は優しいからね…あんな野暮な制服や銀ラメを無理して着ることはないよ?」

 なんか、如月が持ってる服もどっこいどっこいの様な気がするが…。

緋勇「(うぅ、翡翠、オレなんかメカゴジラ着ても似合わないって? それとも似合いすぎて怖い? オレ無表情だし…)…うう。」

 如月へ向けて緋勇ビーム発射!(笑)

如月「ふ、不覚…」

 如月はその場に崩れ落ちた(弱っ)

壬生「防御が弱いですね…。」
京一「へっ! まだまだ甘いな! ひーちゃんの思いを受け止められるのはこの俺だけだ!!」
壬生「ふっ…所詮は亀、水芸一筋、ちょっと熱いものにはふれることもできない…さあ、龍麻、僕なら大丈夫さ、遠慮なく…」

 三人の熱い視線に耐えられなくなった緋勇は逃げ出した。が……

 すでに忘れさられていたモスラがたちふさがった。
アラン「HAHAHAHAHA………HEY!! タツマ! ボクのムネにトビコームネ!!」
緋勇「(トビコーム?! スペシウム光線とかコスモフラッシュとかのこと? …ってそりゃビームか…)い、いや…」
京一「そうだぞ! モスラなんかにひーちゃんをやるかよっ!!」
壬生「……僕はゴジラにもやる気はないけどね…」

 そのとき永遠に続きそうな言いあいを止めるべくヤツが現れた。

美里「うふふっ、駄目よ。京一君、壬生さん、アラン。龍麻が怯えているじゃない。」

 菩薩的笑顔を見せつつ、葵は両手を天にかざした! こ、この体勢は…ッ!

緋勇(え? え!? なに!? なんで脱いでるの? あ! 夏だから暑いんだね! な〜るほど! 納得っ☆)
京一「ななななな何脱いでんだよッ?! おいッ、美里ッ?!」

 なんとっ! 美里の体は醍醐も真っ青の、ムキムキボディーだった!

美里「うふふふふっ☆私だけじゃないのよ…さあ出てらっしゃい、我が下僕、マッスルボディーズ!!」
醍醐「マッ…マッスルボーイズ一号参上!(何故こんな亊をしなければ…。うっ胃が…。)」
紫暮「オッス! マ…マッスルボーイズ弐号参上ッ!!(醍醐…何故俺まで……)」
美里「うふふ…マッスルボーイズ…じゃなくてボディーズよ…(怒)」
醍醐「はっ…はいっっっ! みっ…美里隊長!」
緋勇「(ちょ…ちょっと待ってッ! どーしてこんなことにッ!!)何故だ…」
美里「それはね。龍麻がこれを望んでいるからよ。うふふっ☆」

 なにが「うふふっ☆」だ。その前に、何で考えている亊がわかるんだ? 

美里「うるさいわっ☆うふふっ☆(菩殺眼ビームッ!)」

 ぐはあっ…。
 菩薩眼ビームの破壊力は、緋勇ビームの比ではなかった。
 逃げまどう人々の声……
 広がる阿鼻叫喚の地獄絵図!!(おいおい)
 今の美里を止められるのは、あいつしかいない!
 その時、奇妙な音楽とともに、黄泉返ってきたあの女(ひと)が登場!

比良坂「美里さん、止めて下さい! はらら〜♪」
マリィ「アオイお姉ちゃん! タツマお兄ちゃんがカタマッテルヨ!!」
比良坂「大丈夫よ、マリィちゃん。私達にも頼もしい部隊がついてるわ!」
柳生「な…何故、この俺がこのような屈辱を……
龍山「フォフォ。どうらやとうとう…来てしまったようじゃのう。」
神夷「しっかし、シニアばかり、よくもまあ集めたもんだな、嬢ちゃん」
京一「げっ! し、師匠まで、何しにきたんだよ! 来んじゃねぇ! 師匠相手でもひーちゃんの為なら容赦しねぇぜ!!」
緋勇「(確かこの人達は、美里を止める為に現れたんじゃ…)京一…、間違ってる…」
弦麻「(…いいツッコミだぞ、龍麻。流石、我が息子)……やるな」
小蒔「あれ…? このヒト、ひーちゃんとそっくり!! 誰々? ひーちゃん。知ってるヒト?」
緋勇「(俺そっくり? それじゃ二人でおそろいの衣装でザ・○ーナッツ出来るかな〜ってまた古っ!)…いや。」
弦麻「はじめまして、龍麻の父です。(にっこり)」
京一「…ちちぃ!? お父ーサマァッ!?」
美里「京一君。龍麻のお父様に向かって「お父サマ」と呼んで良いのはわたしだけよ?」
美里「びびびびびびびび(菩殺眼ビーム)」
美里「びびびびびびびび(菩殺眼ビーム)」
全員(しつこっ!!)
美里「なんか文句でも?(あくまでもにこやかに)」
京一「(聞いてない)は、初めましてお父様。俺、いや、僕は蓬莱寺と言います。」
マリィ「(マリィも京一オニィチャンみたいにちゃんとアイサツしなくちゃ!)ハジメマシテ、龍麻オニィチャンのパパ。マリィといいマス。」
柳生「うう…なんか、忘れられているし」
京一「(て、今更だが、ひーちゃんの為に師匠と戦うって言った時、ひーちゃん俺の事間違ってるっていわなかったか?)ひーちゃん…」
弦麻「(どうやら龍麻は良い友人に恵まれているようだ…)私はもう退場するとしよう。強くなれ……龍麻」
美里「逃がしませんよ。(にっこり)」
弦麻「……え??(汗)」
美里「お嬢さんを…もとい、息子さんを私にくださいませんこと?」
緋勇「(ううっ<泣>私にくださいって裏密みたいにオレで実験でもする気なんだな、美里)…困…る。」
マリィ「葵お姉ちゃん、お兄ちゃん困ってるよ?」
京一「そうだッ! ひーちゃんをお嫁に貰うのは、この蓬莱寺京一様だぜッ!!」
緋勇「(えぇぇぇっ! 本気ですかっ、京一っ! ……んなわけないよなー、あのお姉ちゃん大好きな京一が。……はっ! これはもしかしてボケ?! ……よし! 京一の相棒への第一歩だ! 突っ込め! 突っ込むんだ! 俺!)…」

 緋勇は膨大な気を発しながら構えを取った(裏拳つっこみの準備してるだけ)

緋勇「突っ込むぞ…、京一…。(って、何宣言してるねん、俺!)」
醍醐「おまえらみんなの前ではやめ……ううっ(きりきり)」

 ズゴゴゴゴゴ、といった効果音が龍麻の背後で踊る!!(JOJO風に)

京一「…いいぜ、ひーちゃん。好きにしやがれッ!」

 覚悟(どんな?)を決める京一。(背後で倒れ伏す醍醐は無視)だがしかし駄菓子菓子…そのときっ!

裏密「うふふふふ〜〜〜〜〜ミサちゃんもまぜて〜〜 」
京一「ぎゃあ!! また出やがったな裏密! …くっそ、いいところでッ!【怒】」
柳生「ふは…ふははははははははははははははッ!!!!」

 狂ったように泣き笑いしながら、柳生が暴れだした。

緋勇「(へ、変な人! よし、今まで溜めてた分でツッコミだッ)……だまれ」
京一「ひ…ッ、ひーちゃ…ん?」
柳生「(へ? オレ? むりやり連れてこられたオレにだまれと…?)ひっひどい……

 柳生は手で顔を覆うとあっという間に走りさっていった(乙女走り)

美里「うふふ。さあ龍麻、ラスボスも倒したことだし、後はヒロインと結ばれてハッピーエンドよ。…お父様、準備はよろしくて?」
弦麻「(何だ、このプレッシャーは! はッ、迦代に似ているッ!)…そうか、龍麻。お前も茨の道を……(遠い目)」
緋勇「(や、やっぱり? 京一と漫才したいって茨の道だよね。しくしく…………(暗い目)」

 弦麻パパはニュータイプ反応を示しながら、熱くなる目頭を押さえた。

緋勇「(あれ? でも、お前もって、あの、あなたも漫才したい人がいたの? えっと、)……お父さん」
神夷「 おう、よかったな弦麻。無事に親子の再会ってやつができたみたいじゃねか。」
緋勇「(え? 親子の再会? あなたたちはオレを助けにきたんじゃ…はっ!! まさかボケ?)…あなたは……

 そう言いかけて、ふと気付いた。

緋勇(ん? そう言えばこの人、誰かに似てるような…あ!! 京一に似てるのか〜。もしかして、この人がお父さんの漫才したい人?)
京一「ああ! て…てめぇは! 何でココに居やがる!」
美里「うふふ。私のことを無視してもいいのかしら?」

 背後から忍び寄った比良坂が、「栄光の手」で美里の後頭部を叩き倒した!

比良坂「えへっ、せっかくの再会なんですから、邪魔しちゃダメですよ。」

 (実況中継)再び始まった女の戦い!! そして再び十数人(目測)に増えたギャラリー!!

迦代(天の声)「あ〜なた〜…いい加減お遊びも大概になさって〜…そろそろ時間なんですのよ〜…」
弦麻「(っあの声は……いかん! 迦代とあの少女を会わせたりしたら…(怯))……逃げろっっ!」

 弦麻の言葉に、はっとなり蒼ざめる年長者たち。

 しかし、この状況において美里と比良坂が退くことがあろうか(反語)。相変わらず微笑みつつ見詰め合う二人。
美里「うふふふふふふふふふふふ」
比良坂「えへへへへへへへ」
美里「比良坂(生理的に嫌)さん。そこをどいてくださいませんこと?」
比良坂「美里(なんか嫌)さんたら、わがままいっちゃダメですよ。」
美里「(ごごごごごごごご)ジハー……

 その時、どこからともなく響く声が!!

迦代(天の声)「ほほほほほほ。あなたの菩薩眼の力はその程度なのかしら?」
美里「うふふ。どういうことかしら?」
迦代(天の声)「ほほほ。あなた、菩薩眼の割に大した事ないのね、と言ったまでよ。」
弦麻「(迦代〜っ、やめろ〜っ、龍麻がいるんだぞ龍麻が〜!! …怖い〜!!)…龍麻」

 どこかで聞いたセリフだ……

迦代(天の声)「ほほほほ、あなたご心配なく。私の力は龍麻にだけはきかないようになっているのよ〜」
京一「(何だかよくわからねえが、ここにいちゃやばい気がするぜ。)ひーちゃん、オレと逃げよう!」
緋勇「(どっかで聞いたセリフだな)………ああ」
京一(今の隙に、ひーちゃん連れて逃げてやる……っ!)
迦代(天の声)「ほほほ。もうおそいわ……真・ジハード」

 あたりは白い光に包まれすべてを消し去った───


〜エピローグ〜
 (…なんつー夢だったんだ…)
呆然としつつ、龍麻はゆっくりと起きあがった。
既に夜は明けている。薄いカーテンの隙間から零れる光に目を細めながら、ゆっくりと今見た夢を思い出してみた。
(しかし…すごい大騒ぎだったなァ。よく分からんオジサンとかも出てきたし…うーん、最後の本当の両親とか、京一の師匠なんて辺りは、オレの創作なんだろうけどな。変なの〜。)
東京で知り合った仲間や、懐かしい顔もあったようだ。
(それにしても、あの紅葉や翡翠があーんな恰好するなんて…ぷぷッ。今度会ったら吹き出しちゃいそうだぜ(無理だけど)。…だけど、なんだって美里だけは、あんなに性格違ってたんだろ…美里があんなんだったら怖いだろーなあ〜。オレのおかーさんもスゴかったけど…まあ、オレに似てるらしいし、もしかしたらコッチは当たりかも…なんて。はははッ)
一つ一つ思い出しては、心の中で楽しんでみる。カーテンを開け、軽く背伸びをしながら。
(…みんな楽しそうだったなァ…。)
 この夢のように、大切な友人達も、今まで知り合った人々も、まだ見ぬ仲間も、既に天国に召されている筈の両親達も…
(みんなで楽しく集まって、大騒ぎ出来たら、きっと楽しいだろうな。ケンカしたり、困ったりもしてたけど、今思い返すとやっぱり楽しかったもんな…)
今日の「願望の叶った夢」は、いつもよりずっと奇妙で、いつもよりずっと、楽しいものだった。

 しかしたった一つ、夢の中で気になることがあった。
夢だから、例えば美里のように現実と違っていても、おかしくはないだろう…が、この点だけは、どうしてもそのままにしておけない。
夢の中の自分に、今更ツッコむことも出来ないし、どうしてそんな間違いを犯したのかと考えても、理由など思いつく筈もない。結局龍麻は一日中そのことを思い悩み続けた末、とある行動に出たのである。

「ひーちゃん、やっぱりおかしいよ…」
「あァ…何か悩み事でもあるのかも知れんな。」
「龍麻くん…どうしたのかしら。」
「……………。」
 真神の仲間達がこっそり後をつけているのも気付かず、龍麻は辺りを気にしながら、本校舎の裏へと進んでいく。行き先はどうやら、体育館の裏のようだ。
一日中、表情には出さないまでも、何かを苛々と気にしている様子の龍麻を、四人は心配していたのだった。
 体育館の壁に張り付き、隠れて見つめる。
龍麻は周囲の様子を伺うと、深く呼吸を繰り返し始めた。
「…見た事あるぜ…。前にもひーちゃん、ここであんな風に、<<気>>を練り上げたりしてた。」
「なんだァ…じゃ、単に鍛錬したかっただけ…」
「しッ」
 京一が以前ここで見たときとは比べようにならない程の莫大な<<気>>が、龍麻の身体から迸る。
「……ズじゃない…ッ」
「え…ッ? ひーちゃん、今なんて…」
 小蒔が聞き咎めたときには、龍麻の拳から激しい気塊が撃ち出されていた。
「…ーナッ…だ…!!」
龍麻によって生み出された烈風の犠牲となって、幾本かの樹木が轟音に揺れ、龍麻の叫びは殆ど聞き取れなかった。

 驚きのあまり、声もかけられずにいる四人に気付かないまま、龍麻は軽く頭を振って、その場を去って行ってしまった。
「…アイツ…なんて叫んでたんだ?」
「分かんないよ…なんか…『ピーナッツ』とか言ってなかった?」
「まさか…何で「ピーナッツ!」なんて叫ばなきゃなんねェんだよッ。」
「そんなの、ボクが聞きたいよッ。そう聞こえたんだから、仕方ないだろッ。」
「聞き間違いに決まってるじゃねェか。…はァ…結局何も分からず終いかよ…」
 勿論、聞き間違いでも何でもなく、龍麻は「(モスラの小美人はリ○ーズじゃない!ザ・○ーナッツだっちゅーねん!」と叫んだのだが、そんなことは喩え同じ夢を共有したって解るまい。

 翌日、どうしても他に考えつかなかった小蒔が、龍麻にピーナッツの入った菓子袋を渡してみたのだが、当然龍麻は意味が全く解らず、ただ(食べ物を恵んでもらったので)かすかな微笑みを添えて礼を述べただけだった。
「ひーちゃんの七不思議が増えちゃったよね〜。」
 龍麻が席を外した時に小蒔が言ったその台詞は、妙にクラス中にウケてしまい、しばらく「緋勇の七不思議」についてあれこれ取り沙汰された。
だが当の本人は、遠くでひそひそ話されるのに慣れ過ぎていたので、全く気付かなかったのであった…。

募集期間05/23〜2001/07/21


スゴイっす。ネタが特撮に傾いたりシッカリ緋勇とみんながすれ違ったり醍醐が胃痛で倒れたりで、サーノのヘタな小説よりよっぽど面白いものになりました!(笑)
参加して下さった皆様、本当にありがとうございましたm(_ _)m
# あ、そうそう! ○リーズと○・ピーナッツにツッコミ入れちゃってごめんね、当事者の方(^^)

@お詫び:
 ごく一部、書き込みが前後して流れがおかしくなっている箇所の順番を入れ替えたり、同一人物の台詞が連続で入っている箇所をまとめて一つにしたりしました。当該部分を書き込みして下さった方、勝手にごめんなさい。
手を加えた部分は、書いたご本人がそれと分かるように、ちょっと色を変えてあります。
 他はほとんど直してませんが、以下のものは見やすくするため、また文字化けを防ぐため、こちらで勝手に変更・統一しました。ご了承下さい。(サーノ)
◆句読点は全て「、」と「。」に、その他の記号は全角に統一
◆記号の前後の空白を削除(「!」と「?」の後のみ全空白を挿入)
◆「・・・」の統一
◆二重括弧の削除