愛の嵐

あき

サイト一周年おめでとうございます!
私などが書いても…と思ったのですが、サーノさんへの感謝と愛を込めて……


秋晴れが爽やかな土曜日、龍麻達は学校帰りにラーメンを食べ、いつものように連れ立って通学路を談笑しながら歩いていた。
とはいっても話題の中心になっているのは専ら京一と小蒔で、醍醐と美里は二人の話に
耳を傾けては微笑んでいる。
5人の中心を歩く龍麻は相変わらずの無表情でそれにただ頷くだけだった。
楽しいのかそうではないのか、他の4人にはそれを知る術はない。
(あ〜今日も皆と一緒に帰れて幸せだよなぁ! 神様、ありがとう〜オレにトモダチをくれて〜!……これってラスカルのテーマだっけ? ラスカルって最後にネロが死んじゃう哀しい話だよな?ってそれはフランダースの犬だっちゅーねん! ああ、今日は心漫才の調子が良くないなぁ…)
皆の話をきちんと聞きつつ、心の中でそんな事を考えているなんて勿論誰も知らない。
「お、見ろよ! ひーちゃん」
京一がふと足を止めて、紫紺の袱紗を持ったまま右手で進行方向を指した。その先には白亜の教会が荘厳な佇まいで建っていた。
祝福の鐘が鳴り響き大扉が開くと同時に、待ちわびたように人々が歓声を上げる。
「うわ〜っ! 葵、結婚式だよっ!」
小蒔が目を輝かせて美里を振り返る。美里も頬を紅潮させて白い小さな花とライスシャワーの中を幸せそうに歩いている花嫁を見つめた。
「小蒔も美里もやはり憧れるか?」
「あったりまえだよ、醍醐クン! やっぱりウェディングドレスっていいよね」
「うふふ、そうね。小蒔」
その場の雰囲気に染まって浮れ気味の4人を余所に龍麻は新郎新婦の姿をじっと食い入るように見つめながら立ち尽くしている。
「ひーちゃん……?」
京一は龍麻の表情が僅かに暗くなった事に気付き、その横顔を見つめる。
だが、影を落とした眼差しからはそれ以上の事は読み取れない。
(ひーちゃん、もしかして紗夜ちゃんの事を思い出してんのか? それとも遠い昔に失った大切なヤツの事か……? やっぱりまだダメなのか? もうあんな幸せな未来が訪れる事はない彼女の事を……、ひーちゃんはまだ忘れてないんだな……
(龍麻くん……あなたの孤独を癒す存在には…私ではやっぱりなれない?)
(葵、急に黙り込んじゃって…やっぱり龍麻クンと比良坂さんの事気にしてるのカナ?)
(きょ、京一ッ! そんなにじっと龍麻の事を見つめてッ……ま、まさかお前、龍麻とあんな風に、け、結婚式を挙げたいなどと思っているのかッ!? まさか、ウェディングドレス姿を想像してるんじゃあるまいな……? ウッ…胃が急にキリキリと……
全員が好き勝手な事を想像して、幸せムードで一杯の教会前に俄かに不穏な空気が漂い出す。だが、当の龍麻はというと……
(あ〜ケッコン式、やっぱり教会でやるとしたらあんな全開笑顔を皆に向けなきゃダメなんだよなッ?……怖ッ! オレがそんな顔したら絶対皆怖がるよ〜【涙】!! そんな事心配する前に、笑顔なんて無理だっちゅーねん! だったら神前式で厳かにやれば無表情でもいいよな!?……まずはケッコンなんて出来るかどうかそれが大問題だって、オレの場合。……言ってて自分で哀しくなってきた〜ううう。はっ!? 皆がオレを見てる?
どーして? やっぱりオレが結婚に憧れるなんて変ッ?)
「ひーちゃん、その、何だっ……あんまりクヨクヨすんなよなッ!」
視線に気付いて振り向いた龍麻の肩を京一がポンと叩いた。
(やっぱりッ!? 京一、そう思ってるんだ〜【悲】そうだよな……オレなんてッ〜〜〜
龍麻が心の中で自己解釈しているとも知らず、4人はトドメとばかりに頷いた。
今日も彼らの間にはカンチガイの嵐が吹き荒れている。


END


つまらなくてスミマセン(涙)
ただただ、サーノさんへの感謝と【愛】だけを込めて! △ッ!

2000/05/21 Release.

 とりあえず、タイトルで大笑いしたんだけど(笑)やはり醍醐! 醍醐が一人で思いっきりズレてるー! 流石だぜ、あきッ!
ラストの「トドメの頷き」が効いてます。
緋勇(……あの…オレがケッコンに憧れちゃいけない、っていうお話…なの…?【上目睨】)←…そう。(笑)