コスモグリーン(かブルーかイエロー)

 うわ〜! うわ〜!! うわ〜!!!
ウソみたい…コスモのみんなが〜! な、仲間にするって話は白紙になったんだと思ってたのに…!
も、もうグリーンでもイエローでもブルーでもどれでもいいです! お、オレ頑張るよ! オレも一生懸命、練馬と新宿の平和を護るよ! ついでに東京全部護っちまえ!
「ねえイエロー! 画鋲はないの? この壁一面に私のリボンを張り付けたら、きっと綺麗よ?」
 えッ? ああ、でもココ画鋲とかクギとか打つの禁止なんだよー。
ホントはオレも、この部屋殺風景だから、ポスターとか貼りたいんだけどな。舞園さやかとか貼ったら、きっと京一も喜んでくれるだろうになあ。
「俺のこのボールは、天井からつり下げるといいな、ブルー。眠るとき、俺との友情について思い巡らせられるようにな。」
うう…それもすっごくイイなあ…でも天井も以下同文なんだよう〜。ごめんねごめんね二人とも〜。出来るなら、言われた通りにしたいよー。
「お前ら勝手だぞ! 緋勇…いやグリーン、俺っちのこのボールも、ベッドの棚の方がカッコ良く見えないか?」
 え? あ、そうかな? じゃ、それくらいなら出来る…あ……。きょ、京一…ま、また睨んでる…。そ、そうか。頻繁に泊まっていくもんな、お前。ベッドのアタマの上だと、目に入ってイヤか。「汚い」って言ってたくらいだし…。
 オレが困って返事できないのを解ってくれてるのか、コスモのみんなは次々にアイディアを出してくれてる。
嬉しいなあ。うん、壁や天井に穴開けたり、床に置いたりするんじゃなければ、何でもするよー。
…と思ってわくわく見てたら、京一が三人を追い出してしまった…。

 みんな、気を悪くしたかな…。京一〜恨むぞ〜(泣)。
…でも、京一に嫌われるのもイヤだしな。醍醐がいなくなった時の、あの恐怖を思い出すとなあ…。もうコイツを怒らせるようなことはしたくないんだよね。…もしかして、オレって八方美人? うわ…最低だよそれ…。
 自分の欠点に、また一つ追加だな〜とか思いつつ、しょんぼりとお茶碗とかを洗っていたら、京一はまた苛々したような声で言った。
「これ、どーすんだ? 片づけるのか?」
『片づけろ』って意味かな…。
 オレは、ちょっと考えてから、首を横に振った。
こればっかりは、譲れない。
「このまま置いとくのかよ? …いいのか? お前、片付かねェのイヤなんじゃねェのかよ。あいつらのカオでも立てようってのか?」
…えッ!? 「片付かないとイヤ」って…オレのこと? いや、オレ別にそこまでキレイ好きじゃないよ? 掃除は嫌いじゃないけど。
 …もしかして、お前忘れちまったの?

 四月だったか五月だったか…もっと後かな。京一がウチに遊びに来たとき、部屋で思いっきり転んだんだ。床に落ちてた雑誌踏んづけて。
「痛ッてェ〜〜〜! 誰だよ、こんなトコに雑誌置きやがって!」
 あわわ、ごめん! …って、それ持って来たのも置いたのもお前やろ(オドオドしつつ、でもツッコむ)。でもやっぱ、こういうのは住んでる人間が片付けないといけないんだろうな。
そう思って、慌てて雑誌を捨てた。
 あれ以来、危険防止の意味もあって、なるべく外にモノは置かないことにしたんだ。実際この部屋、床がちょっと滑りやすいんだよなー。ホコリたまったりすると、もーツルッツルに滑るから、頑張ってこまめに掃除してんだけどさ。

……これは…置いておく。」
 オレは、きっぱりと言った。…内心ちょっとビビりながらだったけど。
だってさ。
絶対無理だと思ってたのに、認めてもらえたんだぜ? コスモの一員に、迎えてもらえたんだ。
多分、「義理」とか、オレがあんまり入りたそうだから同情してくれたとか、そういうことなんだろう。
いわば、一番下っ端のレンジャー隊員で、みそっかすもいいトコなワケよ。
 そんなオレに、センパイ達がサイン入りアイテムをくれた理由はただ一つ。
「これを毎日拝んで、早く俺っち達のような立派な隊員になれよ」(代表・紅井クン)という意味に決まってるやん!!
だから絶対に飾っておかないと。これは、コスモ隊員の義務なんだ!
……置かない…と…。」
……アイツらが、『置け』って言ったから…か。」
そーだよ! 何だ分かってるんじゃないか京一!
新米のオレは、彼らの命令に逆らうなんて出来ないんだよー。つーか逆らう気は全然ないっつーか喜んで飾らせて戴きますっつーか!(握り拳)