緋勇の本当の姿(笑)

 ああビックリした。なんだろうなーあの耳鳴りみたいな音。オレああいうの苦手なんだってば。ガラスをきゅきゅーっとやる音とか…ううう、思っただけで背中がそそけだつ~。
だけど、鬼どもはもっとビビッたみたいだったな。ビビッたっつーより、メチャクチャ効いてたみたいだ。
人間より耳がいいってことかな。犬の嗅覚は人間の1000倍っていうもんな。犬も関係なければ嗅覚も関係ないけどまあいい。似たようなもんだろう。
 それにしても、あんだけ動きを封じられるなら結構使える技だ。流石は織部妹さん、あの桜井に勝つだけのことはあるぜ。
さっきはいきなり矢向けられてマジで慌てたけど…あんな至近距離でこっち向けて構えられたら、いくら桜井を倒す腕前だって解ってても怖えーよな実際。
しかし「桜井を倒した」って言うと何だか桜井と向かい合わせで弓を撃ち合って、身体のあちこちに矢が数本刺さった二人が「お前…強いな(フッ)」「お前もな(ニヤリ)」なんて笑い合うトコ想像しちゃってぎゃー怖ッ! 女の友情もそうゆうもんなのか!? …いや多分違うやろ。女の友情ってのは、休み時間に連れ立ってトイレに行くことだって京一が言ってたし。
あーでも妹さんは「小蒔様こそ…ふふッ」かな。ニヤリとは笑わんやろ。おじょーさまだもんな。
どっちかっつーと、お姉さんの方が「お前もな(ニヤリ)」だよね。いいよな、お姉さん。なんかすっかり雷人と仲良くなったみたいだけど、オレとも友情…なんてやっぱ言えないよな~とほほ~。

 それにしても…と、ちょっと後ろの妹さんを振り返ってみた。
思わず「止めろ」って怒鳴っちゃったのに、怯えたりもしないで、すぐに矢を使わない新しい技を披露してくれるなんて、ホント凄い人だ。
「こんなこともあろうかと思って、技を開発しておいたのよ」なんて言われちゃったら、明日から「ヤマトの真田さん」って呼んじゃおうかな(心の中でだけだモチロン)。
なんとなく、お姉さんみたいに元気で明るくて強い人っていいな、なんて思ってたけど、妹さんもちょっと控え目なだけで、中味は結構強いのかも知れないな。
まあ、オレに笑いかけてくれるってだけで、じゅーぶん肝が据わってると思うけど。
 …へへッ。頼もしいよな。
これからも後方支援、よろしく頼むぜ。織部妹さん。