「おおッ? あっけましておめでとさん、アニキ〜(はぁと)。こんなトコで逢うとは奇遇やねッ。」
「……ああ。」
「『ああ。』て! 相変わらずシッブイな〜アニキは。正月やで? めでたいんやで? もっと明るく楽しく軽〜く『おッめでと〜!』と、こう…」
「…………。」
「い、イヤやなあ。そんな冷たい目で睨まんでもええやないか、はは、あはは…。あ、そうや! アニキ、今年はまたエライおめでたいって知ってるか?」
「……いや。」
「今年は西暦で言ったら2000年! 今年作る記念切手とか記念切符とか記念コインとかは、持ってるとどんどん値打ちが上がんねんで〜!」
「………。」
「有名人のサインとか、幻のブランド品とかもどんどん値打ちが上がんねんで〜!」
「………。」
「…………。」
「………弦月…」
「…あは…ははは。や、やっぱ少し、無理があったかいな。…いや、何でもないねん…ほな、またなアニキ…ふう。このネタ、誰にもウケへんなァ…ぶつぶつ…」
(劉退場)
「…………それは……プレミアム…。……今年は…ミレニアム。……やろ」
誰も居なくなった路上で呟いた後、少し俯いて溜息をついた龍麻の心中を慮る者はいなかった。
◇ 完 ◇
2000/01/04 Release.