「おッ、龍麻は今日も弁当か。なかなか旨そうだな。」
「うふふ、本当ね。ちゃんとバランスも考えてあるのね、龍麻くんらしいわ。」
「どれどれッ。うわあ、凄いや! ボクのより全然美味しそう!」
「…………。」
「え? いいの? わ〜い、じゃ遠慮なく…(モグモグ)おッいし〜!! この春巻、冷凍のじゃないんだね!」
「……(コクリ)。」
「へへへッ。ひーちゃんてホントに料理上手なんだよなァ。嫁にしてェくらいだぜ。」
「ぶほッ、ごほッごほッ!!」
「…? どうしたタイショー?」
「ねェねェ龍麻クン、こんなに美味しく作れるのって、何かコツとかあるの? 教えてよ!」
「……。」
「やっぱ、本格的にダシを取るとか、こーやって面取りするとか、丁寧にやんなきゃダメなのかなァ…。」
「ってことは、小蒔には一生無理ってことだな。」
「なんだとォッ!? 京一ィッ!!」
「ぎょええッ!!(ドタッ)」
「全く…。どうしてお前は一言多いんだ。」
「いでで…小蒔の手数だって多すぎるだろーがッ。」
「……………………コツ…は…」
「うん? 龍麻クン?」
「………………………………愛情だ。」
「………………。」
「………………。」
「………………。」
(…ああッ。やっぱハズしたかッ。ネタ的に古かった? それともやっぱオレじゃウケない? ああ〜オレって…(号泣))
(あ…愛……ひーちゃんが言うと、何だかものすごくずっしりと重みを感じるのは何でなんだ…「メシは愛情をもって作れ」って説教された気分だぜ…(冷汗))
(た、龍麻ッ…それは…それはまさか、やはり、つまり、きょ、京一への…そ、そういうことなのかッ? 「嫁にしたい」って台詞への返答なのかッ!?(濁汗))
(うーん…もしかしてギャグなのかなァ。でも、龍麻クンって真面目だし…。あッ、ボクに「愛情があればいいんだ」って、教えてくれたのかも。そッかそッか)
(…龍麻くん…私もそう思うわ。好きな人のことを思って、真心を込めて作るお料理が一番ですもの。うふふっ。やっぱり龍麻くんって優しい人なのね…)
今日も今日とてすれ違う真神五人衆であった。
◇ 完 ◇
2000/04/19 Release.