小咄
之弐

そんな日常


「おッ、龍麻は今日も弁当か。なかなか旨そうだな。」
「うふふ、本当ね。ちゃんとバランスも考えてあるのね、龍麻くんらしいわ。」
「どれどれッ。うわあ、凄いや! ボクのより全然美味しそう!」
…………。」
「え? いいの? わ〜い、じゃ遠慮なく…(モグモグ)おッいし〜!! この春巻、冷凍のじゃないんだね!」
……(コクリ)。」
「へへへッ。ひーちゃんてホントに料理上手なんだよなァ。嫁にしてェくらいだぜ。」
「ぶほッ、ごほッごほッ!!」
「…? どうしたタイショー?」
「ねェねェ龍麻クン、こんなに美味しく作れるのって、何かコツとかあるの? 教えてよ!」
……。」
「やっぱ、本格的にダシを取るとか、こーやって面取りするとか、丁寧にやんなきゃダメなのかなァ…。」
「ってことは、小蒔には一生無理ってことだな。」
「なんだとォッ!? 京一ィッ!!」
「ぎょええッ!!(ドタッ)」
「全く…。どうしてお前は一言多いんだ。」
「いでで…小蒔の手数だって多すぎるだろーがッ。」
……………………コツ…は…」
「うん? 龍麻クン?」
………………………………愛情だ。」
………………。」
………………。」
………………。」

(…ああッ。やっぱハズしたかッ。ネタ的に古かった? それともやっぱオレじゃウケない? ああ〜オレって…(号泣))
(あ…愛……ひーちゃんが言うと、何だかものすごくずっしりと重みを感じるのは何でなんだ…「メシは愛情をもって作れ」って説教された気分だぜ…(冷汗))
(た、龍麻ッ…それは…それはまさか、やはり、つまり、きょ、京一への…そ、そういうことなのかッ? 「嫁にしたい」って台詞への返答なのかッ!?(濁汗))
(うーん…もしかしてギャグなのかなァ。でも、龍麻クンって真面目だし…。あッ、ボクに「愛情があればいいんだ」って、教えてくれたのかも。そッかそッか)
(…龍麻くん…私もそう思うわ。好きな人のことを思って、真心を込めて作るお料理が一番ですもの。うふふっ。やっぱり龍麻くんって優しい人なのね…)

 今日も今日とてすれ違う真神五人衆であった。

◇ 完 ◇

2000/04/19 Release.