余談

「りっちゃん…」
「ふふ…うふふふふ。」
「り、理津子…?」
「緋勇クンの…緋勇クンの手に触っちゃった!!」
「おおーッ!!」
「く、苦節五ヶ月半! 京一クンの妨害にもめげず、美里さんとすっかりラブラブになってるっぽいのにもめげずに耐えてきた甲斐があったわー!」
「理津子ぉ! なんて健気なのッ!」
「り、りっちゃん…。(涙)」
「でも、やっぱ緋勇クン…美里さんのカレシなんだよね…。」
「ふふ…それでもいいわ。片思いでも…。指先に残るカレの手のぬくもりと、目に焼き付いちゃったあの美しい肌と、そしてこの緋勇クンの髪を拭いたハンカチを、一生大事にしながら生きていくわ、アタシ…!(遠い目)」
「りっちゃんッッッ!(ガシッ)」
「理津子ぉぉぉ!!(ガシィッ)」

 こんな会話(つーかシャウト)が、3階女子トイレの中から思いっきり響き渡り、正面にある3−Aの教室にいた生徒達には多大な迷惑をかけたのだが、残念ながら龍麻の耳には届かなかったのであった。