之四

Dragon Platinous

圭寿様に捧ぐ

「HEY!! ライト! ラーイトッ!」
「…んあ? …おう、お前は確か…アラン、だっけ?」
「そー、僕アランねー。ライトはドコ行くのですかー?」
「え? あ、あア、ちょいとその…新宿辺りにな。」
「OH! それはクーゼンゼツゴね! 僕も新宿に行くところデース!」
「(…空前絶後? 何のこっちゃ?)…そーかい。じゃ、まア、途中まで一緒に行くか。」
「OK、ライト。ユーとミーはフレーンズね!」
………。」

「さて、お前はドコに行くンだ? アラン」
「僕は勿論、愛する人を訪ねに来たネー。」
「(愛する…? あア、そういや美里サンに一目惚れしたって騒いでたっけ)じゃあ、真神に行くのか。」
「そうデース! 僕のヤマトナデシーコ、待ってるネ!」
「(待ってねェだろ、多分。)仕方ねェな。じゃ、一緒に行ってやるか。」
「オゥ、サンクス。ライトは、どこに行くツモリだったデスか?」
「いや、オレ様も真神に…まァ、帰宅頃に行きゃア、あの旧校舎で暴れられるかも知れねェからよ。それ狙って来てンだよ。」
「…オーゥ。ライト、よっぽどヒマね。」
……うるせえッ。…大体、てめェに名前で呼ばれる筋合いはねェぞ!」
「ホワーイ? この前の戦闘で、ライトと呼べって言ってたネ。」
「そりゃア龍麻サンに言ったンだッ! てめェは『雨紋さん』って呼べ!!」
「HAHAHAHA! ライトはオモシロイね〜!」
……ダメだこりゃ。」

「ライトには、スキな人いないデスか?」
「ん? …まア、な。気になってる人は、いないでもないけどな。」
「それなら、僕の気持ちも分かるネー? 一生で一度の人、そうそう逢えないデース。」
「…そうだな…そうそう逢えるワケじゃねェな、あの人には。(遠い目)」
「僕の理想、すべて持ってる人。出会えると思わなかったヨー。」
「理想、か。そうだな、オレ様も、理想の人に逢えるとは思ってなかったな。」
「OH! ライト、意見が合いましたネ! ライトの愛する人は、マガミの人デスか?」
「(あ、愛ッ?)…ま、まァな。」
「そーですかッ。キグルミね。…AH、早く逢いたーいネッ。」
「(着ぐるみ…何と間違ってやがンだ)そんなに惚れてンのか?」
「モチロンでーす。僕の理想の人、キレイで強くて優しいネ! 一生大事にしたいデース!」
「ふーん。まァ、確かに凄えベッピンさんだもンな。」
「それだけじゃないヨ。仲間の中で、イチバン強いネ。」
「(そうか…? 一番強えのは、やっぱ龍麻サンだろ?)…そうかい。」
「とってもキレイで、とってもココロが強い。技も凄いネ。」
………
「僕が、リベンジばかり考えて、突撃しようとしたら、叱られたネ。…お陰で、冷静になれたデス。そして、ちゃんとカタキを取れたネ。ミンナ、あの人のお陰。」
「…?(あンとき美里サン、後方で何かアランに言ったのか?)」
「僕もミンナのお手伝いをするって言ったら、握手してくれた。あの時の、キレイな瞳、一生忘れないネ。」
……何?」
「オトコじゃなかったら、プロポーズしてるトコだけど、僕の情熱を分かってもらえれば、ノープロブレムね!」
……!! ちょっと待てッ! 美里サンじゃねェのかッ?!」
「…? 葵は素敵なレイディだけど、もはや愛はないヨー。」
……あンだけ騒いどいて、お前ってヤツァ…。いや、そンなこたァどうだっていいッ。た、龍麻サンにバカな真似しやがったら、このオレ様が許さねェぞッ!!」
「OH。バカなマネじゃないね。ラブ・アタックするだけネ。」
「そ・れ・が、バカだって言ってンだッ!!」
「…まさか、ライト。ライトのスキな人も、龍麻デースか?」
「バッ、馬鹿ッ!! そーじゃなくてだな…」
「それならツキダシ無用ね。僕は、僕の愛を貫きマース!」
「突き出しって何だよッ! い、いやッ待て! お、オレ様だってな、お前なンかに渡すくらいなら、ずっとずっと龍麻サンのコト見てきたンだからなッ! そう簡単にくれてやるものかよッ!」
「OH! やはりそーデスか! では、ユーとミーはライバルねッ!」
「応よッ! 絶対龍麻サンは譲らねェからなッ!!」

 ───幸か不幸か、こんな二人のやり取りを知らない龍麻は、この後のダブルラブ・アタックを受けても「なんてスキンシップ好きな奴らなんだ」としか思わなかった。

「Hey、アミーゴッ。今日も元気だったかネ〜?」
「このバカアラン! 龍麻サンに触ンじゃねェッ!」
(…仲良いなあ、この二人。コントに混ぜてもらってるみたいで、ちょっと幸せ〜。へへへ。)

 今日も今日とて間違っている龍麻なのだった。

07/07/1999 Release.